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症例紹介~喜びのやまびこ~

当薬局にて実際にご相談いただいた症例をご紹介致します。

 

咳の原因は千差万別 ~治りにくい咳~

近年、身体の乾いた症状が目立つ方が増えているように感じます。その背景には、飲食の不節制や睡眠不足、スマートフォンやパソコンなどで目を酷使することなどが関与しているのではないかと思っております。テレビでも渇きを訴えるCMもございますが、一般には渇きの対処方法は水分補給が指南され、体内の余分な水分を増やす一因になっているように思われます。秋になると慢性的な咳嗽や咽痛の患者さんが目立つようになりますので、当店での一部のケースを紹介致します。

 

症例1 「亜急性の咳」 76歳女性 無職

主な症状:激しくない咳、痰はほとんど出ない

背景:元々家族内でストレスが多く、来店時にはいつも愚痴が多い方。症状が発症する前にも家族内でもめ事があり、加えて近所の葬式の手伝いで疲れた。

好転・悪化条件:入浴やのど飴で好転。悪化条件は特にないが、朝夕などの日内変動なし。飲食後・陰天時の悪化なし。

その他の症状:食欲不振、お腹の張り、口が乾き温かいものを好んで飲む、寒がり、小便正常、便秘、皮膚の乾燥

経過:2週間前から咳が出ており、かかりつけ医での治療を続けるものの改善せずご来店。元来、ストレスと胃腸虚弱を持つ体質の方でした。今回もストレスにより肺の潤いが失われた結果、咳が現れたものと考えました。単に肺を潤わせるだけでなく、ストレスを解消することにより体内の水分代謝を整えることを目標に、漢方薬を選んでお飲み頂きました。

(3日後)漢方薬服用後に体が熱くなり、咳がひどくなり止まらない…との訴えございました。しかし、飲酒もしていたとのことのため、飲酒を控え、そのまま服用を続けるようお願いしました。

(7日後)その後は咳が楽になり、週末からの旅行にも行くことにしたとのご報告を頂きました。

 

症例2 「咳と痰と慢性的なのどの痛み」 63歳男性 無職

主な症状:のどの痛み、のどのイガイガ感、咳、白色で粘った痰が多く出る

背景:9年間寝たきりの奥様を昼夜介護しており、数年前に体力が続かず自営業もやめられて、現在は介護生活に注力されています。しかし、身体介護にて腰痛が悪化し、坐骨神経痛を発症。夜間に2~3回の吸痰作業で年中寝不足状態。何より、自由な時間が少ないことによるストレスが強い。

好転・悪化条件:活動時に少々症状が悪化する程度で、1日中大きな変化なし。

その他の症状:口が乾き冷たい水分を沢山飲む、便秘、小便正常、足腰がだるい、食欲旺盛

経過:今年2月にインフルエンザにかかり、その後から症状の強弱がありながらものどの痛みが続いていた。かかりつけ医での治療や耳鼻咽喉科での治療を行ったものの改善傾向がみられず、諦めて放っておいた。しかし、夏になり症状がかなり強くなって我慢できなくなりご相談に来られました。最初はのどの痛みよりも咳と痰の改善を目標に治療することとしました。問診時間があまりとれない方だったため、暑い中での水分摂取過多によるものと思い、肺や胃腸の余分な水分を排泄する漢方薬を選んでお飲み頂きました。

(5日後)痰は幾分減ったものの、まだ痰も咳も残る。ストレスに起因するものかと考え、ストレスを緩和し痰を減らす漢方薬に変更。

(10日後)何となく痰も咳も減った気がするが、やはりスッキリしない。また、のどの痛みもかなり気になる。改めて症状を確認し、空気の通り道を潤す漢方薬に変更。

(15日後)徐々にのどの痛みが軽減し、同時に咳・痰共に改善し、今ではのどの痛みがややある程度にまで改善。

(20日後)のどの痛みも咳もすっかり良くなったとご報告頂きました。

 

症例3 「激しい咳、大量の濃厚な痰と鼻汁、喘息」 42歳女性 主婦

主な症状:激しい咳が1日中出ている、大量の濃厚な痰と鼻汁、喘息で息苦しい

背景:元は看護師さんで夜勤も多く、肌の乾燥やじんましんなどのお悩みをお持ちだった。結婚を機に現在は休職中。2児のお母さん。現在は、4歳と0歳児の育児に奮闘中。1カ月前に風邪をひいて、近医での治療を継続するものの、なかなか良くならないためご相談。

好転・悪化条件:赤ちゃんを抱っこすると咳がひどくなる。忙しく動いていても悪化する。

その他の症状:口が乾いて冷たいものを少量飲む、汗をかきやすく寝汗も出ている、口内炎も多発、食欲旺盛、大便正常、小便の色が濃い

経過:とにかくひどい咳で話している最中でも咳き込むと止まらずに辛そう。夜も眠れず、疲れてはいるものの、食欲があるため何とか寝込まずに済んでいる。症状の激しさから、肺に熱がこもっており、かつ体内に余分な水分が貯まっているものと考え、肺の熱を冷まし、体内の余分な水分を排泄する漢方薬を選んでお飲み頂きました。

(7日後)痰や鼻汁が少なくなってきた。咳も乾いたものになってきた。寝汗も止まり、少し体も楽になってきた。しかし、ヒューヒュー、ゼーゼーといった喘鳴があり、声がガサガサにかすれてきた。喘鳴は夕方が一番ひどくなる。口の乾いて冷たいものはまだ飲んでいるとのことで、肺の熱を冷まし、空気の通り道を潤す漢方薬に変更。

(14日後)息苦しさが楽になってきた。喘鳴も少なくなり、咳の頻度も減ってきた。しかし、痰がまだ出るのが残る。痰の色は白っぽくなってきたとのことで、前薬に加えて痰を減らす漢方薬を加えてお飲み頂きました。

(22日後)痰がほとんど出なくなり、咳も激しいものは出ず、乾いた咳が少し残る程度になったとのことで、空気の通り道を潤し、体力を回復させる漢方薬をお飲み頂きました。

(29日後)咳も痰も喘息もすっかり良くなりました…とのご報告を頂きました。

 

考察:咳の原因は、鼻から肺にかけての空気の通り道がスムーズに流れないことです。その通り道が冷えたり、熱がこもったり、水や気が滞ったり…と原因は様々です。漢方薬はその原因ひとつひとつに対して選ばれるため、同じ「咳」という症状でも選ぶお薬は千差万別です。今回は「乾燥」が原因の咳にクローズアップしましたが、実は同じ乾燥した咳でも使用した漢方薬は全て違うものでした。正にオーダーメイド…ですね。

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